塩ビ鋼板の塗装は、通常の金属塗装とは異なる注意点があります。
特に、ブリード現象と呼ばれる現象は、塗装の仕上がりや耐久性に大きく影響します。
今回は、塩ビ鋼板塗装の基礎知識から、ブリード現象の対策、塗装工程、費用までを分かりやすく解説します。
住宅オーナーの方にとって役立つ情報を網羅的にご紹介します。
塩ビ鋼板に塗装をするための基礎知識
塩ビ鋼板の特徴と種類
塩ビ鋼板は、鋼板にポリ塩化ビニル樹脂をコーティングした建材です。
色、サイズ、形状、材質のバリエーションが豊富で、腐食しにくく酸性雨にも強いという特徴があります。
樹脂コーティングにより通常の鋼板よりも耐久性が高く、海岸沿いの建築物など、過酷な環境下での使用にも適しています。
また、耐ガス性、耐薬品性にも優れており、住宅だけでなく、冷蔵庫の扉やユニットバスの壁など、様々な用途で使用されています。
軟質塩ビ鋼板は、被覆膜厚が厚いため、爪で押すと柔らかく感じる場合があります。
最近では、表面に細かいレザー模様が施されたものも多く見られます。
塩ビ鋼板とカラー鋼板の違い
塩ビ鋼板とカラー鋼板はどちらも金属系の建材ですが、大きな違いがあります。
カラー鋼板は、鉄板などに塗装を施したもので、塩ビ鋼板は鋼板にポリ塩化ビニル樹脂をコーティングしたものです。
塩ビ鋼板の方が、耐候性、耐食性に優れている傾向があります。
外観上は、塩ビ鋼板にはエンボス調の凸凹模様が見られることが多いのに対し、カラー鋼板はフラットな質感です。
指で叩いた時の音も、塩ビ鋼板の方が鈍く聞こえます。
また、塩ビ鋼板はカラー鋼板よりも厚みがあります。
塩ビ鋼板の劣化と寿命
塩ビ鋼板は耐候性が高い建材ですが、長年の紫外線や風雨による影響で劣化します。
塩化ビニル被膜の剥離や、色あせなどが起こる場合があります。
耐用年数は一般的に15~20年といわれていますが、環境条件やメンテナンス状況によって異なります。
劣化が著しい場合は、塗装による補修や交換が必要になります。

塩ビ鋼板を塗装する際の注意点と対策
ブリード現象がおきる原因と対策
ブリード現象とは、塩ビ鋼板に一般的な塗料を塗布すると、可塑剤が塗膜表面に移行し、ベトベトした状態になる現象です。
これは、塩ビ鋼板の被覆材に含まれる可塑剤が、一般的な塗料と混ざりやすいことが原因です。
ブリード現象を防ぐには、塩ビ鋼板専用のプライマーを使用することが重要です。
このプライマーは、可塑剤の表面移行を抑制し、塗膜の硬化を促進します。
適切な下塗り材の選び方
塩ビ鋼板塗装には、必ず塩ビ鋼板専用のプライマーを使用しましょう。
一般的な下塗り材を使用すると、ブリード現象が発生する可能性が高くなります。
専用のプライマーは、可塑剤の移行を抑制する成分が含まれており、塗膜の密着性も向上させます。
プライマーは、主剤と硬化剤を混ぜて使用する2液硬化型塗料が一般的です。
希釈剤は強溶剤を使用します。
下地が錆びている場合は、錆止め塗料を先に塗布する必要があります。

まとめ
この記事では、塩ビ鋼板を塗装する基礎知識から、ブリード現象の対策などを解説しました。
塩ビ鋼板塗装は、通常の金属塗装とは異なる注意点があります。
この記事が、塩ビ鋼板に塗装を行う際の参考になれば幸いです。