外壁塗装は、単に建物の美観を回復させるだけでなく、過酷な環境から建材を守り、建物の寿命を延ばすための重要なメンテナンス工事です。
その効果を最大限に引き出し、長期にわたって美しい状態を保つためには、塗装工事の中でも特に「下地処理」と呼ばれる工程が極めて重要となります。
この目に見えにくい部分の丁寧な施工こそが、塗膜の剥がれやひび割れといった早期劣化を防ぎ、塗装本来の性能を発揮させる鍵となるのです。
今回は、外壁塗装における下地処理の重要性とその具体的な内容について、詳しく解説していきます。
外壁塗装の下地処理を怠ると起こる問題
外壁塗装において、下地処理を十分に行わないまま塗装を進めてしまうと、見た目の美しさが損なわれるだけでなく、建物の保護性能にも深刻な影響を及ぼす様々な問題が発生する可能性があります。
これらの問題は、塗装工事の初期段階で発見されることもあれば、数年後に顕在化することもあり、結果的に再工事や建材の劣化を早める原因となりかねません。
塗膜の剥離や浮きは下地処理不足が原因
塗装面の汚れ、旧塗膜の付着力低下、あるいは下地に含まれる水分などが適切に除去・処理されていない状態で新しい塗料を塗装すると、塗膜と外壁材との密着性が著しく低下します。
具体的には、高圧洗浄で汚れやコケ、旧塗膜の浮いている部分が十分に除去されていなかったり、劣化して剥がれかけている旧塗膜をそのままにして上塗りしたりすると、塗膜が外壁材から剥がれたり、表面で浮き上がったりする現象を引き起こします。
また、モルタル壁などに含まれる水分が蒸発する際に塗膜を押し上げたり、シーリング処理が不十分で雨水が浸入しやすくなっていたりすることも、塗膜の剥離や浮きを誘発する要因となります。
これにより、せっかく塗装した外壁が早期に劣化し、美観を損ねるだけでなく、防水性能の低下にも繋がることが懸念されます。
ひび割れ再発も下地処理の不備が招く
外壁に存在するひび割れ(クラック)は、建物の構造や温度変化、乾燥収縮など様々な要因によって発生しますが、塗装前の下地処理段階でこれらのひび割れが適切に補修されていない場合、塗装後しばらくすると再び表面に現れてくることがあります。
特に、ヘアクラックと呼ばれる髪の毛のような細いひび割れであれば塗料の弾性でカバーできる場合もありますが、幅の広いクラックや構造的な要因によるクラックに対して、シーリング材の充填やVカット・Uカットといった専門的な補修が施されていないと、内部からの影響を受けて塗膜ごとひび割れが再発してしまいます。
この再発したひび割れから雨水が浸入すると、さらに下地の劣化を進行させ、建物の耐久性を低下させる恐れがあるため、塗装工事におけるクラック処理は極めて重要な下地処理工程の一つと言えます。

外壁塗装における下地処理の手順費用業者の選び方
外壁塗装で美しい仕上がりと長持ちする耐久性を実現するためには、適切な下地処理の手順を理解し、それに伴う費用や信頼できる業者選びのポイントを押さえることが不可欠です。
外壁材の種類によって処理方法が異なるため、それぞれの特性に合わせた丁寧な作業が求められます。
外壁材ごとの下地処理手順
外壁塗装における下地処理は、外壁材の種類や劣化状況によって手順が異なります。
代表的なモルタル壁とサイディング壁に分けて、一般的な手順を見ていきましょう。
モルタル壁の場合、まず高圧洗浄機を用いて表面の汚れ、コケ、旧塗膜の剥がれなどを徹底的に除去します。
次に、発見されたひび割れに対しては、その幅や深さに応じてVカットやUカット処理を行い、シーリング材を充填して補修します。
旧塗膜が著しく劣化している場合は、剥離剤やケレン作業で除去することもあります。
さらに、壁表面に残った汚れやシミを洗浄し、下地調整剤(シーラー)を塗布して塗料の密着性を高め、塗装面を均一に整えます。
サイディング壁では、高圧洗浄による汚れ除去の後、サイディングの継ぎ目や窓周りなどに施されている古いコーキング材を撤去し、新しいコーキング材を充填する打ち替え作業(または増し打ち)を行います。
サイディング自体のひび割れや欠損部も、必要に応じて補修材やシーリング材で処理します。
モルタル壁と同様に、旧塗膜の除去が必要な場合や、シーラーを塗布して下地を整える工程が含まれます。
ALCパネルや金属系サイディングなど、他の素材の場合も、それぞれの特性に合わせた洗浄、補修、シーラー塗布といった工程が基本となります。
下地処理にかかる費用の相場
外壁塗装における下地処理の費用は、通常、塗装工事全体の費用の中に含まれており、下地処理単体で明確な金額が提示されることは少ないのが実情です。
しかし、工事費用全体に占める下地処理の割合は決して小さくなく、劣化状況が激しいほどその費用は増加します。
例えば、足場設置費、高圧洗浄費、クラック補修費(ひび割れの数や補修方法によって変動)、コーキング工事費、シーラーなどの下塗り材の費用などが、下地処理に関連する主なコストです。
一般的に、塗装工事費用全体の2割から4割程度が下地処理に費やされると見込まれますが、これはあくまで目安であり、建物の築年数、外壁材の種類、劣化の進行具合、そして選択する塗料や工法によって大きく変動します。
特に、広範囲にわたるクラック補修や、旧塗膜の全面的な除去などが必要な場合は、追加費用が発生する可能性が高くなります

まとめ
外壁塗装の仕上がりや耐久性は、表面に塗られる塗料だけでなく、その下地となる部分の処理がいかに丁寧に行われているかに大きく左右されます。
下地処理を怠ると、塗膜の剥離や浮き、ひび割れの再発といった問題が早期に発生し、美観を損ねるだけでなく、建物の防水性や構造自体の耐久性にも悪影響を及ぼしかねません。
モルタルやサイディングといった外壁材の種類に応じた適切な手順で、汚れの除去、ひび割れの補修、シーリングの打ち替えなどを確実に行うことが、塗装工事の成功の鍵となります。
工事費用にはこれらの下地処理にかかるコストが含まれていることが一般的ですが、劣化状況によって変動するため、詳細な見積もりと説明を業者から受けることが重要です。
信頼できる業者を選ぶためには、現地調査の丁寧さ、作業内容の説明の分かりやすさ、施工実績、保証内容などを総合的に判断し、納得のいく工事を依頼することが、長期的に見て建物を美しく、そして強く維持するための賢明な選択と言えるでしょう。