モルタルのひび割れの種類と原因別の補修方法を解説

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モルタルのひび割れの種類と原因別の補修方法を解説

モルタルの表面に現れたひび割れは、建物の老朽化や美観の悪化だけでなく、構造的な問題につながる可能性も秘めています。
放置すると、雨水の浸入による腐食や建物全体の強度低下を招くこともあるのです。
そのため、早期発見と適切な対処が重要といえます。

今回は、モルタルのひび割れの原因と、種類に応じた効果的な補修方法について解説します。

モルタルのひび割れの種類ごとの原因

ヘアークラックは乾燥収縮が原因

モルタルはセメントと砂、水などを混ぜ合わせて作られます。
この混合物が乾燥する過程で体積が縮小し、表面に細かいひび割れ(ヘアークラック)が発生するのです。
これは、モルタルの材料や配合、施工時の環境条件などによって影響を受けます。
特に乾燥が急激に進んだ場合に発生しやすくなります。

ヘアークラックは、通常は構造的な問題には直結しません。
しかし、放置するとそこから雨水が浸入し、内部の鉄筋を腐食させる可能性があるため、早めの補修が望ましいといえます。
特に、外壁などに発生したヘアークラックは、雨風の影響を受けやすいため、注意が必要です。
さらに、ヘアークラックの発生を抑制するために、適切な養生を行うことも重要です。

構造クラックは建物の構造的な問題が原因

構造クラックは、建物の構造的な問題、例えば地盤沈下や地震などによって発生する、比較的幅の広いひび割れです。
ヘアークラックと異なり、構造クラックは建物の強度や安定性に影響を与える可能性が高いため、専門家による点検と適切な補修が必要です。
放置すると、建物の倒壊などの危険性もあるため、早急な対応が求められます。

構造クラックは、通常はヘアークラックよりも幅が広く、深さも深く、目視でも容易に確認できることが多いです。
また、構造クラックが発生した場合、建物の安全性に深刻な影響を与える可能性があるため、専門業者に相談することが不可欠です。

コテ跡はモルタル仕上げ時の技術不足が原因

コテ跡とは、モルタルを塗り終えた後にコテで仕上げる際に、不適切な操作によって生じるひび割れのような跡のことです。
これは、施工者の技術不足や、適切な養生が行われなかったことなどが原因で発生します。
コテ跡自体は構造的な問題とは直接関係ありません。
しかし、見た目が悪くなるため、美観を損なうことになります。

特に、外壁など目立つ場所に発生した場合には、建物の印象を悪くしてしまうため、補修が必要となるでしょう。
また、コテ跡の発生を予防するためには、熟練した施工者による適切な施工と、適切な養生が重要です。

乾燥クラックは急激な乾燥が原因

乾燥クラックは、モルタルの乾燥が過度に早く進んだ場合に発生するひび割れです。
これは、高温多湿の環境下でモルタルを施工した場合や、十分な養生が行われなかった場合などに起こりやすい現象です。
乾燥クラックは、ヘアークラックと同様に、構造的な問題とは直接関係ないことが多いです。

しかし、雨水の浸入経路となる可能性があるため、適切な補修が必要です。
特に、乾燥が早い時期や、日差しが強い場所に施工されたモルタルでは、乾燥クラックの発生リスクが高まります。
適切な乾燥期間を設ける、適切な養生材を使用するなど、施工時の配慮が重要になります。

ひび割れの種類に適した補修材の選び方

ヘアークラックに最適な微弾性フィラー

ヘアークラックのような、ごく細いひび割れの補修には、微弾性フィラーが適しています。
微弾性フィラーは、ひび割れに柔軟に追従できる性質を持つため、再ひび割れを防ぎ、長期的な効果が期待できます。

また、施工が容易で、比較的安価なこともメリットです。
ただし、幅の広いひび割れには不向きです。
さらに、微弾性フィラーは、様々な色調が用意されているため、周囲のモルタルの色に合わせて自然な仕上がりを実現できます。

構造クラックに最適なエポキシ樹脂注入材

構造クラックのような、幅の広いひび割れの補修には、エポキシ樹脂注入材が有効です。
エポキシ樹脂注入材は、ひび割れ内部に注入することで、強度を高め、構造的な問題を解決します。
ただし、施工が複雑で専門的な知識や技術が必要な場合もあります。
また、エポキシ樹脂注入材は、高い強度と耐久性を持ち、建物の構造的な安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

コテ跡に最適なモルタル補修材

コテ跡には、モルタル補修材を使用することで、元のモルタルとほぼ同じ質感で補修することができます。
モルタル補修材は、色調を調整することで、目立たないように補修することも可能です。
ただし、ひび割れが深い場合は、下地処理が必要になることがあります。
また、モルタル補修材は、モルタルの風合いを再現できるため、自然な仕上がりを実現できます。

幅広いひび割れに対応できる変成シリコンコーク

変成シリコンコークは、ヘアークラックから構造クラックまで、幅広いひび割れに対応できる汎用性の高い補修材です。
柔軟性が高く、ひび割れの動きに追従できるため、再ひび割れを防ぎます。
また、防水性にも優れているため、雨水の浸入を防ぐ効果も期待できます。
さらに、変成シリコンコークは、耐候性にも優れており、長期にわたって補修効果を維持することができます。

まとめ

モルタルのひび割れは、その種類によって原因と適切な補修方法が異なります。
ヘアークラック、構造クラック、コテ跡、乾燥クラックなど、それぞれの原因を理解し、適切な補修材を選び、適切な手順で補修を行うことで、建物の寿命を延ばし、美観を保つことができます。
補修作業を行う際には、安全に配慮し、必要に応じて専門業者に依頼することも検討しましょう。
適切な補修を行うことで、建物の資産価値を維持することにも繋がります。

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