建物の寿命を左右する重要な要素の一つに、シーリング材の選定があります。
適切なシーリング材を選ばなければ、雨漏りや建材の劣化につながる可能性も。
外壁やサッシ廻りなど、建物の様々な箇所に使用されるシーリング材ですが、その種類は多岐に渡り、それぞれに特性が異なります。
今回は、建築現場で頻繁に使用される変成シリコンとウレタンシーリング材に焦点を当て、その違いを詳しく見ていきましょう。
建物の改修・メンテナンスに携わる皆様にとって、この記事が最適な材料選択の一助となれば幸いです。
変成シリコンの特徴と選び方
耐候性と耐久性の比較
変成シリコンは、シリコン系シーリング材とは異なり、塗装が可能です。
ただし、塗料によっては、はじきやベタつきが発生する場合があります。
耐候性、耐久性ともにウレタンには劣りますが、シリコン系シーリング材よりは優れており、約5~10年の寿命と言われています。
周辺環境への汚染が少ないのも特徴です。
柔軟性にも優れ、金属類など、ムーブメントの大きい箇所の施工にも適しています。
価格帯とコストパフォーマンス
ウレタンに比べると、変成シリコンは価格はやや高めです。
しかし、長寿命であることや、塗装できることから、長期的なコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
塗装可能性と施工性
変成シリコンは塗装可能なため、外壁塗装との相性も良好です。
ただし、塗料との相性を事前に確認し、必要に応じてプライマーを使用することが重要です。
施工性については、扱いやすい材料として知られています。
適した使用場所と用途
変成シリコンは、一般建築物の内外装の目地、サッシ廻り、モルタル・コンクリートの目地やクラック、タイル目地、各種屋根材や金属の目地など、幅広い用途に使用できます。
サイディングボードの目地にも多く用いられています。

ウレタンシーリング材のメリットとデメリット
耐候性と耐久性の詳細
ウレタンシーリング材は、硬化後ゴムのような弾力性を持ち、高い耐久性を誇ります。
しかし、紫外線に弱いため、塗装せずに露出した状態での使用は不向きです。
塗装することで耐久性を高め、紫外線からの劣化を防ぐことができます。
価格とコストパフォーマンスの比較
変成シリコンに比べて、ウレタンシーリング材は比較的安価です。
しかし、紫外線対策として塗装が必要なため、トータルコストは変成シリコンと比較検討する必要があります。
塗装可能性と施工の容易さ
ウレタンは塗装前提のシーリング材であり、塗装することで優れた耐久性と美観を維持できます。
施工性も比較的容易です。
ただし、アルコールと反応するため、アルコールを含む材料との併用は避けるべきです。
適した場所と使用用途の検討
ウレタンは、一般建築物の内外装の目地、サッシ廻り、モルタル・コンクリートの目地やクラック、タイル目地などに使用できます。
塗装を前提とした使用が推奨されます。

まとめ
変成シリコンとウレタンは、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
変成シリコンは塗装可能で耐候性に優れる一方、価格はやや高めです。
一方、ウレタンは価格が安く耐久性も高いですが、紫外線に弱いため塗装が必要です。
それぞれの特性を理解し、建物の状況や予算、デザインなどを考慮して最適なシーリング材を選択することが重要です。
適切な選択は、建物の長寿命化に大きく貢献します。
塗装の有無、予算、施工場所、そして求められる耐久年数などを総合的に判断することが、成功への鍵となります。
専門業者への相談も有効な手段です。